10メートル超えの“植物の巨塔”をご存知ですか?
砂漠の王者とも呼ばれる巨大柱サボテン。
その代表格であるカルネギア・ギガンテア(サワロサボテン)は、なんと人間の数倍を超える高さにまで成長します。
今回は、そんな「サボテンの世界記録」と「巨大化のメカニズム」に迫ります。
サワロサボテンとは?──乾いた大地の巨人
カルネギア・ギガンテア(Carnegiea gigantea)

- 通称:サワロサボテン(Saguaro cactus)
- 原産地:アメリカ・アリゾナ州南部、メキシコ・ソノラ砂漠
- 分類:サボテン科 カルネギア属
サワロサボテンは、樹木のような姿で知られ、「アメリカの西部劇に出てくるサボテン」と言えば、たいていこの種を指します。
世界記録は“13メートル超え”!

サワロサボテンの平均的な高さは6〜10メートル程度ですが、観測された中での最大記録は13.8メートル(※根元からの直立部)にも達します。
これはビルの4階相当。
しかもその重量は数トンに及ぶとされており、水分を大量に蓄えた「生きた貯水タンク」とも言える存在です。
どのくらい時間がかかる?驚きの成長ペース

- 発芽から10年で約2.5cm
- 25年でようやく1メートル前後
- 50〜75年で枝(腕)が出始める
- 100年以上生きる個体も多数(平均寿命は150〜200年)
サワロの成長は極めてスロー。ただし、その分、過酷な環境でも何世代にもわたり立ち続けます。
なぜここまで巨大化できるのか?

巨大柱サボテンがここまで大きくなれる背景には、乾燥地帯特有の進化があります。
水の貯蔵能力が桁違い
太い茎の中にはスポンジ状の柔組織があり、1本で最大数千リットルの水を保持可能。
これが体を支える構造体にもなっています。
CAM型光合成による“夜の呼吸”
日中の蒸散を避け、夜間にCO₂を取り込む仕組み(CAM型光合成)を採用。
効率的に水分を守ります。
内部に“木の年輪”のような構造
外見は柱でも、中にはリング状の成長線があり、年単位の環境変化を刻んでいます。
これは一種の“年輪”とも言われます。
サワロだけじゃない!他の巨大サボテンたち

サボテン名 | 最大高さ | 分布地域 | 特徴 |
---|---|---|---|
サワロ(Carnegiea gigantea) | 約13.8m | アリゾナ・ソノラ砂漠 | 西部劇の象徴的存在 |
パキセレウス・プルルス(Pachycereus pringlei) | 約19.2m(非公式) | メキシコ・バハカリフォルニア | 世界最大とされる記録も |
トリコケレウス属(Trichocereus) | 5〜10m | 南米アンデス山脈沿い | 美しい花を咲かせる |
※サワロは保護対象で、アリゾナ州では伐採や移動に許可が必要です。
サボテンが「木のように」大きくなる理由とは?

- 重力方向に水を蓄える柱状構造が効率的
- 天敵(草食動物)からトゲで身を守る
- 高さで日光を確保し、種子を風に乗せやすくする
植物が「木のようになる」必要性は多様ですが、乾燥地では水を守る構造と外敵回避が鍵となっているのです。
まとめ:サボテンの“巨木化”は生存戦略だった
サボテンは「小さくてかわいい」だけじゃない。
過酷な砂漠を舞台に、数百年かけて10メートルを超える塔のような姿へと成長する植物も存在します。
それはまさに、自然が生んだサバイバルの彫刻。
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