植物は動かず、静かに生きている──そんなイメージを持っていませんか?
実は、植物たちは“香り”を使って仲間と情報をやり取りしているのです。
トマトやアカシアなどの植物は、害虫や動物に攻撃されると**「警報物質」**を放出し、周囲に「危険が迫っている!」と知らせます。
これはまるで、植物同士の“化学的会話”。
本記事では、そんな驚くべき植物の通信手段について、やさしく解説していきます。
植物は香りで“会話”している?

植物は言葉を話せませんが、実は香り(化学物質)で周囲にメッセージを送っています。
たとえば、以下のような場面で活用されています。
- 害虫にかじられたとき
- 動物に葉を食べられたとき
- ストレスや病気の予兆があるとき
こうした刺激に反応して揮発性の化学物質(匂い)を放出し、近くの植物に危険を知らせるのです。
トマトが出す「ジャスモン酸」

トマトは、葉がイモムシなどにかじられると「ジャスモン酸」という物質を空気中に放出します。
これを受け取った周囲のトマトは、次のような防御反応を始めます:
- タンニンなど、苦味のある物質を作る
- 葉を硬くしてかじりにくくする
- 防御遺伝子のスイッチをONにする
このように、香りを使って仲間に危険を伝え、自らの防御準備を整えるのです。
アカシアはエチレンガスで警報!

アフリカのサバンナに生えるアカシアも、トマトと似たような防御手段を持っています。
アカシアの防御システム
- キリンなどに葉を食べられる
- エチレンガスを空気中に放出
- 近くのアカシアがこれを感知
- 自らの葉に以下の変化を起こす
- タンニンを増やして苦くする
- 枝にトゲを増やす
まるで「危険が来てるぞ、準備しろ!」と仲間に伝える自然の防御ネットワークができているのです。
なぜ「香り」で伝えるの?

植物が“香り”という手段を選んだのには、理由があります。
香りで伝えるメリット
- 空気中に広がりやすく近くの植物に届く
- 光や音に頼れない植物にとって唯一の通信手段
- 一部の物質は、害虫の天敵を呼び寄せる効果もある
つまり、香りは「仲間への警報」だけでなく、「助けを呼ぶSOS」でもあるのです。
まとめ:植物の世界は想像以上に賢い
じっと動かない植物たちも、実は常に環境に反応し、仲間と“会話”している存在です。
- トマトは“ジャスモン酸”で仲間に危険を知らせる
- アカシアは“エチレンガス”で防御を促す
- 香りは植物にとっての“言葉”のようなもの
身近な観葉植物たちも、もしかしたら今この瞬間も、静かに何かを伝え合っているかもしれません。
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