アガベ・チタノタ市場で頻繁に目にする「白鯨」や「姫厳龍」などの名前。
これらは見た目の特徴から名付けられた“通称”であることが多く、正式な園芸品種名ではありません。では、なぜ同じ名前なのに姿が違う株があるのか?
本記事ではその理由を解説しつつ、上級者が実践する“株本位”の選び方も紹介します。
「白鯨」「魔丸」「姫厳龍」…その名前、正式な品種名じゃない!

多くのアガベ・チタノタの選抜株には、以下のような特徴的な名前が付けられています。
- 白鯨(はくげい)
- 魔丸(ままる)
- 姫厳龍(ひめげんりゅう)
- 黒鯨、鳳凰、鬼爪 など…
しかし、これらの名称の多くは「園芸品種」としての登録がされていない、いわば市場内での愛称・通称に過ぎません。
園芸品種(Cultivar)とは?
植物学的に正式な「園芸品種名」は、国際的な基準に基づき登録される名称で、再現性や安定性が確認された系統に与えられるものです。
一方で、市場に出回るチタノタの多くは実生選抜(タネから育てた中で形の良いものを選ぶ方法)による一点モノの株であり、同じ名前でも全く異なる姿になることがあるのです。
なぜ同じ「名前」でも形が違うのか?

● 実生選抜は「一点モノ」
アガベ・チタノタの多くは実生栽培によって育てられます。
つまり、同じ親からとれた種でも、鋸歯の形、葉の厚み、締まり具合などが大きく異なることが珍しくありません。
● 名前は“特徴”のイメージから付けられる
「白鯨=白く太い鋸歯」「姫厳龍=コンパクトで鋭い葉」など、見た目の印象や象徴性から名付けられたニックネームのようなものが多いです。
これにより、育成環境や個体差によって“同じ名前”でも別物のような姿になることがあります。
上級者は「名前」より「株の実物」を見る

チタノタ愛好家やプロの育成家は、こうした背景を理解した上で株を選びます。
観察ポイント
- ロゼットの締まり具合
- 葉の厚み・長さ・角度
- 鋸歯の形状と配列
- トップスパインのバランス
名前やタグに惑わされず、“その個体の美しさ”に価値を見出すスタンスが、上級者に共通する考え方です。
よくある誤解と注意点

誤解 | 実際のところ |
---|---|
「白鯨ならすべて同じ姿になる」 | 実生選抜のため、姿はバラバラ |
「タグに書いてある名前=品種名」 | 多くは通称・販売用の名称 |
「名前が違えば全く別物」 | 同じ系統でも異なる呼び名がつくことも |
まとめ:本当に大切なのは“名前”より“個体の魅力”
アガベ・チタノタの世界は、見た目の多様性が魅力の一つです。
しかし、それゆえに名前だけで判断するのは危険。
一点ものの選抜株こそ、“実物をよく観察する目”が重要になります。
市場に出回る名称に惑わされず、自分の審美眼で「これだ」と思える株を見つけてください。
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