「サボテン=トゲだらけ」と思っていませんか?
実は、“トゲがほとんど無い”サボテンも存在します。
その代表が、ロフォフォラ属(ウバタマ)やアストロフィツム属の兜丸(カブトマル)。
乾燥地に生きるはずの彼らが、なぜ武器を手放す進化を選んだのか——その背景には、独自の生態戦略と環境適応が隠されていました。
トゲなしサボテンとは?代表的な2属を紹介
ロフォフォラ属(Lophophora)

- 主な種:ロフォフォラ・ウィリアムシー
- 特徴:表皮はなめらかで綿毛に覆われ、トゲはほぼ見られない。
- 生息地:メキシコ北部の石灰質の乾燥地帯。
アストロフィツム属(Astrophytum)

- 主な種:アストロフィツム・アステリアス(兜丸)
- 特徴:丸く扁平な体に、白点模様が美しく配置される。トゲがなく観賞価値が高い。
- 生息地:テキサス~メキシコの一部の荒野。
なぜ「棘」を失った?2つの進化的背景
1. 捕食圧の少ない環境

トゲは本来、草食動物からの食害を防ぐための「防御手段」。
しかし、以下のような環境ではトゲが不要になることがあります:
- 岩の割れ目や崖上など、動物が近づきにくい場所に生育。
- 非常に乾燥していて動物が少ない地域では、そもそも“食べられるリスク”が小さい。
このような場所では、トゲの生成に使うエネルギーを他の生存機能に回す方が合理的となります。
2. 綿毛や白点による別の防御策

ロフォフォラの綿毛や、アストロフィツムの白点模様(トリコーム)は、以下のような役割を担っています:
- 強い日差しから体表を守る断熱効果・遮光効果
- 露や霧を吸着して水分を得る集水機能
- トゲほどではないが、表面を覆うことで捕食者を遠ざける
つまり、トゲ以外の手段で環境への適応と自衛を果たしているのです。
トゲなしの利点と育てやすさ

園芸的メリット:
- 管理しやすく安全:トゲがないため取り扱いや植え替えが容易。
- 室内でも飾りやすい:インテリアとして人気。
栽培上の注意点:
- トゲによる水分保持がないため、過湿や直射日光に弱い面も。
- 通気性と排水性に優れた用土で管理を。
トゲがない=サボテンじゃない?

一見サボテンらしくない見た目ですが、刺座(アレオーレ)があることでサボテンと分類されます。
「トゲがないけど、ちゃんとサボテン」なのです。
まとめ:武器を捨てて生き残った、賢きサボテンたち
サボテンの進化は“過酷な環境”に合わせた合理的な選択の結果です。
ロフォフォラやアストロフィツムは、トゲに頼らず別の方法で生き抜く道を選んだ、いわば「静かなる戦略家」。
あなたのコレクションに、そんな“トゲなき美しさ”を加えてみませんか?
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