盆栽にずっと興味はあったけれど、「難しそう」「ルールが多そう」と、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
でも今回、思い切って黒松で初めての盆栽づくりに挑戦。
技術も知識もないぶん、自由な発想で「自分の中の自然の風景」をかたちにしてみました。
流木や苔、山砂を使って仕立てたのは、小さな黒松がたくましく生きる“ハビタットスタイル”のミニ盆栽。
はじめてだからこそ見えてきた盆栽の楽しさや、植物との向き合い方についても、素直な気持ちで綴っています。
小さな黒松と、自由な発想ではじめた盆栽

実はこの盆栽、筆者にとって初めて仕立てた黒松の作品です。
技術的にまだまだ拙いところもありますが、だからこそ、肩の力を抜いて、自由な感覚でつくってみようと思いました。
盆栽というと「難しそう」「ルールが多そう」と思われがちですが、今回の作品ではそういった枠を一旦横に置いて、“自然をどう切り取るか”という感覚だけを大切にしてみました。
流木と苔でつくる、小さな風景

使った素材は、まだ若い黒松と流木、そして苔と山砂。
黒松には針金を軽くかけ、今後の樹形づくりに向けてゆっくりと方向を整えています。
根元には流木を置いて、まるで山の中腹や風にさらされた斜面に生えているような雰囲気に仕立てました。
派手な見せ場はないけれど、静かな自然の風景を、小さな鉢の中で表現できたらいいなと思っています。
鉢とのバランスについて

この黒松には、あえてシンプルなブラウンの陶器鉢を合わせてみました。
自然の風景を表現した作品なので、鉢はあまり主張しすぎず、風景を受け止める“背景”のような存在にしたかったんです。
落ち着いた茶色のトーンは、流木や山砂、苔の色ともうまく馴染んでくれて、黒松の緑を引き立ててくれるような気がしました。
深さのある丸いフォルムも、地形のような雰囲気をつくるのにちょうどよくて、仕立てながら「この組み合わせ、意外としっくりくるかも」と感じた部分です。
正直なところ、鉢選びもまだまだ手探りですが、“こんな景色があったらいいな”という気持ちを形にしていく楽しさを、少しだけ味わえた気がしています。
ハビタットスタイルと盆栽について、いま感じていること

「盆栽」と聞くと、どこか格式ばっていて、技術や知識がないと手が出しづらい…そんなイメージがありました。
でも、自分の中でそのイメージを少し変えてくれたのが、“ハビタットスタイル”という考え方でした。
植物そのものを主役にするというより、その植物がどんな場所で生きているのか、どんな環境に根を下ろしているのかを想像して、その背景ごと小さな鉢の中に閉じ込めてみる。
そうすることで、「かっこいい盆栽を作ろう」という意識よりも、「風景を表現してみたい」という気持ちが自然と湧いてきたんです。
枝の角度や葉の付き方、土の表情や流木の向き…。
すべてに正解があるわけではなくて、“こういう世界があってもいいかも”という自由な想像が、盆栽に対するハードルを少し下げてくれた気がしています。
だからこそ、技術や経験がなくても、まずはやってみたくなる。
ハビタットスタイルは、そんな“最初の一歩”を自然に後押ししてくれるアプローチなのかもしれません。
おわりに:上手じゃなくても、自由でいい
この盆栽は、決して完成されたものではありません。でも、「こんなふうに自然を切り取ってみたい」という想いだけで十分楽しめるのが、盆栽の魅力だと感じました。
はじめての人ほど、決まりごとに縛られず、自由な感覚で植物と向き合えるかもしれません。
少しずつ枝が伸びたり、形が変わっていく過程も楽しみながら、これからも育てていこうと思います。
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